Artists

リプキン・クヮルテットLipkind Quartet

弦楽四重奏

Profile

アルテム・シシュコフ(ヴァイオリン)

Artiom Shishkov, violin

林 悠介(ヴァイオリン)

Yusuke Hayashi, violin

ノラ・ロマノフ-シュヴァルツベルク(ヴィオラ)

Nora Romanoff-Schwarzberg, viola

ガブリエル・リプキン(チェロ)

Gavriel Lipkind, cello

チェロのソリストであるガブリエル・リプキンによって創設。この特異な弦楽四重奏団は深遠な概念とで本質的に科学的なアプローチで弦楽四重奏に取り組む。このプロジェクトの背後にある主たる理念は、創造的に妥協することなく長年の協働を可能にするために、4人は非常に厳格な行為規範に則って行動する、というものだ。メンバーはそれぞれ、各々の楽器の技術や表現において「過激派」として認知され、ソリストとしての個性を持ったカリスマ的な演奏家であり、リーダーとしても十分な経験を積んでいる。

性格的に弱い者が強い者に追従することでカルテット内でのバランスをとるのでなく、リプキン・カルテットは非・民主的な運営モデルを採用している。すなわち、リハーサルの過程も、その全体像も、すべてガブリエル・リプキンにより組織され、監修される。カルテットの他のメンバーは、リハーサル終了後、あるいは開始前に、演奏に対するコメントや希望を共有することでリプキンの仕事に影響を及ぼす。これによって、練習中の無駄な時間は皆無となる。

このカルテットは、一緒に演奏するのに費やすのと同程度の時間を、共にスコアを概念化し、分析することに費やす(テーブルで=すなわち、楽器を持たずに)。ここの過程に全てのメンバーは深く関与し、各々の新しいアイデアで自由にお互いを挑発する。

この方法によって、リプキン・カルテットは既にいくつもの根源的な「発見」をし、非常に興味深い尋常ならざる音楽作りをしてきた。影響力のあるこの4人の音楽家たちは、(弦楽四重奏などの少人数の団体でありがちな)人間関係上の衝突、意見の無意味な対立などを完全に避けながら、音楽の襞の奥深くに入り込む能力を持つ。このことが、聴いただけでそれと分かる独特の響きや、音楽から直接的で明晰な思想が聴き取れることの主な理由である。

「16本の弦と4本の弓を持った怪物、ただ一つの大きく膨れ上がった頭と、暖かく鼓動する心臓」――これは、メンバーたちが自分たち4人の共演の経験を描き出すやり方である。長年準備期間と様々なテストや試演期間をへて、リプキン・カルテットは2008/2009シーズン、ついに初めてのコンサートを開催する。このシーズンの間、20公演のコンサートと平行して、ガイア音楽祭(スイス、トゥーン)やツァイスト音楽祭(オランダ)をはじめとしたドイツ、イスラエル、オランダなどでのイベントへの参加、ドイツ、オランダ、スイスなどのラジオでの放送が予定されている。2009年にCDがリリースされる予定である。

リプキンは、1シーズンに80回以上のソロでの演奏を行うほど多忙だが、このカルテットについて、以下のように述べている。「僕らは今30歳代で、それぞれ誰もが全く別々の活動で非常に忙しい。イリヤはロシアで自分のオーケストラを持っていて、作曲家としてもこれから書かなければならない委嘱作品が列を成している状態。サンドリーヌはルクセンブルクで教授を務めているし、オーディオ=ヴィジュアルの企画で忙しい。グウェンドリンはいくつかの音楽祭やプロジェクトで音楽監督を務めていて、教材の編集者でありながら彼女自身も教育者として比類ない存在だ。そして、誰もがみなカルテットとは別に並行していくつものコンサートをこなさないといけない。だから、僕らは必然的に効率的にならないといけない。と同時にお互いに友情や影響力を享受したいとも思う。僕らは可能な限り早く音楽の深淵に到達したいけれど、リハーサルの中で儀礼的なやり取りをしたり、押しつぶされたりはごめんだ。このカルテットの目的は明瞭な心理状態で、音楽的な思考やコンセプトを追及していこう、というものなんだ」

2009/2010シーズンのリプキン・カルテットは、日本へのツアーを皮切りに、更なる録音や、世界中での演奏を予定している。