宇野功芳企画 第3弾 佐藤久成ヴァイオリン・リサイタル
2014年 2月 15日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:東京文化会館小ホール
出演:佐藤久成・小林亜矢乃
発売中
曲目
佐藤久成(ヴァイオリン)、小林亜矢乃(ピアノ)【プログラム】
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.296
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304
モンティ:チャールダーシュ
サラサーテ:アンダルシアのロマンス
パラディス:シシリエンヌ
パガニーニ:ラ・カンパネラ
シマノフスキ:アルトゥーザの泉
ハイドン:セレナーデ
ベディンガー:オード・エロティーク
ラヴェル:ツィガーヌ
【チケット】
全席指定 S席¥5,000 A席¥4,000 学生席¥3,000(コンサートイマジンのみ扱い)
佐藤久成(ヴァイオリン)Hisaya Sato, Violin
東京芸術大学附属音楽高校を経て、東京芸術大学卒業後渡欧。ロームMF奨学生や特別奨学生として、ザールラント音楽大学、ブリュッセル王立音楽院、スタウファー音楽院、ベルリン芸術大学で研鑽を積む。日本演奏連盟賞受賞。リッチ、ルガーノ、ルイス・シガル、ベオグラード、ヴィオッティ等国際コンクールで優勝、入賞。1994年ベルリン交響楽団定期公演のソリストとして欧州デビュー。ベルリン響、ベオグラードフィル、ルーマニア国立響、ベルリン室内管、サンティアゴ響、南米の主要オケ等と共演。独・国営放送、ラジオ・仏、伊・国営ラジオ、NHK-FMに出演。欧州各新聞紙上等で絶賛された。また、ライフワークとして数万曲に及ぶ未知の絶版楽譜を世界中で収集、知られざる作曲家や忘れられた作品の発掘に力を注ぎ、紹介・初演・録音を積極的に行う。彼のプログラミングには、日の目を見ることのなかった知られざる作品の本邦初演が多数含まれる。CDもレコード芸術誌「特選盤」はじめ、数多くの雑誌にて推薦CDに選出される。この独自の活動は日本経済新聞にて取り上げられた。宇野功芳氏の本企画公演前2公演ではその類まれな音楽性と熱演から大きな反響を呼んだ。
小林亜矢乃(ピアノ) Ayano Kobayashi, Piano
東京音大ピアノ演奏家コース、特待生で入学、首席卒業。播本三恵子、田崎悦子、倉沢仁子、野島稔各氏に師事。財)ロームM.F音楽在外研究生。ケルン音楽院にてパヴェル・ギリロフ氏に師事、ディプロム・室内楽・国家演奏家資格取得コース全て、最高点・首席で卒業。日本音楽コンクール入選を始め、カラブリア国際ピアノコンクール第2位他、多数の国際コンクールで上位入賞。ソリストとして、ハンガリー国立響、日フィルや読響等、国内外の主要オーケストラと共演。類稀な深みのある音楽で、聴衆を魅了する音楽家として、今後の活躍が期待されている。
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西洋の芸術とは、つまるところエゴの表現だ。
確かに「まずはこうしなさい」という型はある。それどころか、学校ではそれを徹底してたたき込まれる。だが、そんな型は、壊されるためにある。エゴを表現するための踏み台にすぎない。ずば抜けた音楽家は、作曲家だろうと演奏家だろうと、容赦なく型を壊す。そして、自分の型を作る。それが音楽史というものである。
西洋の芸術とは、不自由な世界の中で自由を夢見ることである。だから、「こんなやり方は誰もやらなかった。考えたこともなかった。でも、すばらしいじゃないか」、これ以上の賛辞はない。
しょせん壊されるためにある型をむやみと重視する日本の音楽界に、どうして佐藤久成などという奇特な人物が現れたのだろう? 私は最初に彼のCDを聴いて、感心するより先に不思議に思った。誰も弾かないような曲を、誰も弾かないように弾く。日本に、ことに保守的で頑迷なクラシックの分野でそんな演奏家が生きていく余地があるのか?
やがて佐藤氏はヴァイオリン1つでワーグナーの巨大な世界を表現するという一見大それたことまで始めた。この人は、槍をヴァイオリンに持ち替えたドン・キホーテなのか?
しかし、それでよいのだ。いくら技術が進歩しても、佐藤氏のような奔放なヴァイオリンを弾くロボットは現れないだろう。音楽とは人間の尊厳である。そのために、佐藤氏はヴァイオリンを武器にして戦い続けなければならない。
許 光俊 (音楽評論家)