コンサートイマジン
蝶々夫人 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 特集

その夜、感動が舞う。

ヨーロッパ・オペラ界の潮流を先取り
◎ルイゾッティ
 パリで「オテロ」を指揮して大成功
 ゲルギエフの代役で急きょ指揮台に
 ルイゾッティが3月8日、パリ国立オペラ・バスティーユ歌劇場でヴェルディの歌劇「オテロ」を指揮、観客総立ち、全楽団員が楽器を叩いて賞賛という大 成功を収めた。ワレリー・ゲルギエフの代役を急きょ務めたもので、パリ国立オペラで指揮するのは、昨年の新プロダクションだった「椿姫」に続いて2度目。
 セビリア歌劇場でヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」を振って大評判となっていた真っ最中の出来事で、ジェラール・モルティエ総裁からの電話を受けて急きょパリに入り、ガルージン、イソコスキー、アルヴァレスといった大物を練習なしで見事に統率、センセーショナルな成功となった。総裁からは、すぐに次の2つのプロダクションの指揮を依頼されたという。
 その後も、4月8日にはジェノヴァ歌劇場でプッチーニの「西部の娘」のプレミエを指揮、その圧倒的な底力を披露して観客を唸らせたルイゾッティは、日本で「蝶々夫人」を指揮する直前には、NHK交響楽団にオーチャード定期を振ってデビューを飾ることになっている。

◎ディミートリゥ
「トスカ」で衝撃的な米国デビュー
シカゴ・リリック・オペラでシカゴをノックアウト――。

 「蝶々夫人」の公演で主役の「蝶々さん」を歌うドイナ・ディミートリゥが1月末、シカゴのリリック・オペラで「トスカ」のタイトルロールを歌って米国デビューを果たした。現地の新聞評からも絶賛を浴びる大成功。欧米の歌劇場で次々に大役を射止めている。ディミートリゥの、快進撃が続く。

――2月2日「シカゴ・サン」紙
 月曜日のリリック・オペラにおけるリヴァイヴァルの「トスカ」公演は、良く通る声で炎のような美を秘めたルーマニアのソプラノ、ドイナ・ディミートリゥの前にひれ伏した。――ディミートリゥは舞台を優雅に心地好く動き、偽りのない敬虔さとローマを席捲する美しい歌姫の持つ情熱的エゴとのバランスをよく表現していた。彼女のトスカは完璧に情熱的であるにもかかわらず、彼女の性格の中の、恋に弱い女、聖母マリアへの献身、嫉妬深い女の性、沈着な人殺しの部分なども、リアルに表現していた。「歌に生き、恋に生き」のアリアは、当惑と追い詰められた魂が慈悲を請う、心からの祈りとなっていた。

――2月2日「シカゴ・トリビューン」紙
 予定されていた“トスカ”役のフィオレンツァ・チェドリンスのキャンセルは、ディミートリゥをシカゴに連れてくるという幸せな運命の変化をもたらした。――ブルゴーニュ産のワインにも似た豊かな響きの中、低声域を持つ、声量ある安定したこのソプラノは、2幕のスカルピアとの対決では凄まじい迫力を見せ、最後には「歌に生き、恋に生き」のアリアを繊細なフレージングで歌い上げて、通常の舞台からかけ離れた世界を作り上げていた。――ハイ・ウェストのドレスに身を包んだ美しく細身のディミートリゥのトスカが、自分をレイプしようとしたおぞましいスカルピアを見下して「この男の前にローマのすべてが震えていたのだ!」という有名なセリフを言った時、舞台の上は一幅の完全な絵のようであった。

 

ニコラ・ルイゾッティ
Nicola Luisotti
(指揮者)

 1961年イタリアのトスカーナ地方生まれ。ミラノ・スカラ座でムーティ、マゼールの副指揮者を務めた後、ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場で合唱指揮者を務める。99年、サレルノのヴェルディ劇場の音楽監督に就任。トリエステのジュゼッペ・ヴェルディ劇場で、『スティッフェッリオ』の150年記念公演を指揮し。2001年ヴェローナ音楽祭に『ナブッコ』でデビュー、シュトットゥガルト歌劇場で『イル・トロヴァトーレ』を指揮し、一躍音楽界の話題をさらう。03年パリ・バスティーユ歌劇場では『椿姫』で鮮烈なデビューを飾る。04年10月には、ロス・アンジェルス・オペラで「カルメン」を指揮。ドミンゴより“偉大な指揮者”と絶賛され、観客も毎回スタンディング・オベーションで彼を迎える熱狂ぶりだった。05年サンフランシスコ歌劇場、06年メトロポリタン歌劇場と08年までスケジュールがびっしりという将来の最も活躍が期待される大型の若手指揮者。

 

(c)Michael Voltattorni

ドイナ・ディミートリゥ
Doina Dimitriu
(蝶々さん)

 ルーマニア生まれ。ヤーシの芸術大学で音楽学と声楽を専攻し、声楽で卒業。「トスカ」の世界初演を歌った“ハリクレア・ダルクレー”・コンクールに優勝し、その後、ブカレストを始めとしたルーマニアの主要都市の劇場で次々とオペラ・デビューを重ねる。
 1999〜2000年までスカラ座の研修所に在籍。2000年『ラ・ボエーム』のミミ役で同劇場デビュー。02年、スポレット音楽祭でメノッティ指揮の「マクベス」の“マクベス夫人”を歌い、一躍オペラ界の脚光を浴びた。ムーティ指揮スカラ座フィルと共演のブルックナーの「ミサ曲」では絶賛を博した。スカラ座ではヴェルディの「椿姫」、「オベルト」、「パリのウーゴ伯爵」、さらにはドニゼッティの超難曲「王達の一日」を歌うなど、近年めきめきと頭角をあらわしてきた若手ソプラノである。スカラ座の他、ヴェローナ音楽祭、ジェノヴァ歌劇場、ローマ歌劇場、パルマ歌劇場などに出演。パルマでは、ロストロポーヴィッチの指揮で、ヴェルディの「レクイエム」を歌う。
 豊かな声量と正確な技術、迫力ある舞台での演技と、天性の美貌で、今後の活躍がますます期待される大型ソプラノである。 日本デビューは、04年、サントリーホールでベテランのブルソン、シコフと共に「トスカ」のタイトルロールを歌い、絶賛された。

ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
Vincenzo La Scola
(ピンカートン)

 イタリア・シシリア島パレルモ生まれ。ルチアーノ・パヴァロッテイの推薦で、彼の師でもあるアリゴ・ポーラに師事する。1982年に「ヴェルディの声」国際コンクールでツィリアーニ賞を受賞し、83年には、パルマで「ドン・パスクワーレ」のエルネスト役にてオペラ・デビューを果たした。88年には「愛の妙薬」のネモリーノ役でミラノ・スカラ座にデビューを果たす。そこで、リッカルド・ムーティの目に留まり、95年の来日公演「椿姫」のアルフレート役を歌う。その後、世界中の歌劇場を席巻、98年にはローマ法王臨席のクリスマス・コンサートにも出席するなど、ポスト三大テノールの一番手として圧倒的な人気を誇っている。前回のプッチーニ・フェスティバル「蝶々夫人」でもピンカートン役を演じ、その存在感と歌声で聴衆を魅了した。

 

ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ
Gabriele Viviani
(シャープレス)

 1977年、プッチーニの生地、トスカーナ州ルッカ生まれ。ルッカの“ボッケリーニ音楽院”で、声楽とファゴットを学ぶ。カリアリ・オペラ劇場におけるモーツァルト・声楽コンクールで「ドン・ジョヴァンニ」と「フィガロ」の役で優勝したのをかわきりに、数々の声楽コンクールで優勝している。彼の美しく力強い声と、正統派の端正な歌唱法は、すぐに評判となり、若くしてローマ歌劇場、パレルモのマッシモ劇場、ジェノヴァのカルロ・フェニーチェ劇場、ヴェニスのラ・フェニーチェ劇場、ボローニャ歌劇場などにデビュー。「愛の妙薬」のベルコーレ、「ラ・ボエーム」のマルチェッロ、「椿姫」のジェルモン、「ルチア」のエンリーコなどの役を歌う。昨年のジュゼッペ・ヴァルディ劇場の来日公演で、ボンファデッリ、アルバレスと共に「ルチア」を歌って絶賛を浴びたのが記憶に新しい。今後のイタリアのオペラ界を背負って立つ、久々のバリトン歌手の大器と期待されている。

 

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