来日迫る! 12/3アンリ・バルダ ピアノ・リサイタル 曲目解説①
いよいよ来日! 巨匠アンリ・バルダ(ピアノ)
12/3(水)東京文化会館でのオール・ショパン・リサイタルがあと約1週間後に迫ってまいりました。本日は、音楽評論家の青澤唯夫氏によるプログラム解説の一部を特別に公開いたします!
ぜひチェックしてみてください!
アンリ・バルダ ピアノ・リサイタル
12/3(火) 19:00 開演 東京文化会館大ホール
ショパン:
舟歌、バラード第1番・4番、
ピアノ・ソナタ第2番「葬送」
ピアノ・ソナタ第3番
他
http://www.concert.co.jp/concert/detail/1989/
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即興曲第1番〜第4番
フレデリック・ショパン(1809〜49。1810年説もある)はアンプロムプテュユ(即興曲)を4曲残している。その名の通り即興的な性格を秘め自由な表現が特徴で、情緒や雰囲気が次々に変わってゆく。ショパンが即興演奏の名手であったのは、親しい友人ユリアナ・フォンタナをはじめ数々の証言が残されている。しかしその作品は、即興演奏を書き留めたものではなく、時間をかけて推敲し、精緻に彫琢された形跡がある。
第1番変イ長調op.29は、パリ時代の1834年から37年に作曲された瑞々しさにあふれる明るい曲。アレグロ・アッサイ・クアジ・プレストで、3部形式。
第2番嬰ヘ長調op.36は、1839年初秋の作曲。フランス初版はアンダンティーノ、ドイツ初版はアレグレットとなっている。形式の自由度が大きく、コントラストをもつ5つの部分とコーダからなるが、舟歌の叙述的な性格と夜想曲の瞑想性を併せもつ。
第3番変ト長調op.51は、1842年秋の作曲。自筆譜の左上にはテンポ・ジュスト(正確な速さで)と記されている。ドイツ初版はアレグロ・ヴィヴァーチェ、フランス初版はヴィヴァーチェ。ショパンの最終意思はヴィヴァーチェではないか。3部形式の優美で瞑想的な曲。
第4番嬰ハ短調op.66は「幻想即興曲」と呼ばれて人気抜群の曲。1834年ごろに完成し、決定稿には1835年の日付がある。アレグロ・アジタート、3部形式。モデラート・カンタービレの中間部では甘く夢見るようなメロディーが魅力的に歌われる。
「舟歌」(バルカロール)嬰ヘ長調op.60
ジョルジュ・サンドとの別れが近づいた1845年秋から翌年の夏、死の3年前に作曲された名作。高雅な響きのなかに、孤独の憂い、明るい陽光を想起させる色彩感、生への憧れを感じさせる。バルカロール(バルカローレ)というのは、ヴェネツィアのゴンドラ船頭の歌に由来する。3部形式にコーダを付けた構成。
そのほかの曲目解説も、今後追って公開予定!お楽しみに!