イマジン七夕スペシャル・曲目解説②
7/7(日)イマジン七夕スペシャル「ロマンティック4大協奏曲」でサントリーホールに響く名曲の数々、各曲の聴きどころをお伝えしたく、音楽ジャーナリストの池田卓夫さんがご執筆くださったプログラムノートを公開します。
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«イマジン七夕スペシャル2019・曲目解説»
池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗
●メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」
ヤーコブ・ルートヴィヒ・フェーリクス・メンデルスゾーン・バルトロディ(1809〜47)の名前、日本では「ドイツ・ロマン派の作曲家」のカートに入れられる場合が多い。生前は指揮者の名声が高く、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター(楽長)も務めた。指揮で最大の功績はJ・S・バッハの死後100年近く忘れられていた「マタイ受難曲」の復活演奏を20歳のとき、ベルリンで実現したこと。それ以前の演奏会は新曲の紹介に主眼が置かれたが、メンデルスゾーンは古典の再現という路線を開拓した。ユダヤ系だったために第二次世界大戦中、ドイツのナチス政権が「小ぶりで取るに足らない作曲家」の過小評価を徹底した後遺症は1980年代まで残っていた。
だが「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」だけは、あらゆる時代を通じ「古今のヴァイオリン協奏曲中の最高峰」との絶賛をほしいままにしてきた。以前にベートーヴェン、後にブラームスやチャイコフスキーが「ライバル曲」を書いたが、独奏ヴァイオリンが華やかに活躍する度合い、3つの楽章を切れ目なく演奏する構成の独自性など、あらゆる観点から、メンデルスゾーンを「ナンバーワン」に挙げるヴァイオリン奏者が多い。メンデルスゾーン自身、13歳でニ短調の「ヴァイオリン協奏曲」を書いていたが忘れられ、1951年にイェフディ・メニュヒン(ユーディ・メニューイン)が楽譜を発見、翌年に蘇演した後も、ホ短調の絶対優位は揺るがなかった。
メンデルスゾーンは1838年ころ、ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターを務め、自身と同じくユダヤ系ドイツ人の優れたヴァイオリニストだったフェルデイナント・ダーフィト(1810〜73)のために「ヴァイオリン協奏曲を書く」と決めたが、作曲完成は1844年にずれ込んだ。翌年の初演時、メンデルスゾーンの体調はすでに早過ぎる死に向かって悪化していて立ち会えず、第2カペルマイスターのデンマーク人ニルス・ゲーゼが代わりに指揮をした。
1)アレグロ・モルト・アパッショナートのホ短調、2)アンダンテのハ長調、3)アレグロ・ノン・トロッポ〜アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェのホ短調(再現部でホ長調に転調)----の3楽章構成で、演奏時間は約30分。
▶公演情報
2019年7月7日(日)15:30開演
サントリーホール大ホール
第15回イマジン七夕スペシャル2019
「ロマンティック4大協奏曲」
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